積立NISA（つみたてNISA）は、長期的な資産形成を目指すための非常に有効な制度ですが、その運用を始めた後、資金が必要になった場合に「取り崩し」が必要になることもあります。「取り崩し」という言葉を聞くと少し難しそうに感じるかもしれませんが、実は基本的な手順を理解しておけば、誰にでも簡単に行えます。本記事では、取り崩しの具体的な方法や注意点、さらに知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
積立NISAの取り崩しとはどういう意味？
「取り崩し」とは、積立NISAで運用している資産を売却し、現金化して引き出すことを指します。他の投資制度と異なり、積立NISAは非課税期間が設けられており、その間に運用益を得ることができます。しかし、運用中に資金が必要になった場合には、一定の手順を踏むことで資産を現金化することが可能です。
例えば、以下のような理由から取り崩しを検討することがあります：
- 突発的な支出（医療費や修理費用など）
- 生活費の補填
- 老後の資金としての利用
取り崩しを行う際には、以下の2つの主要なステップを押さえておくことが重要です。
積立NISAの取り崩し手順を解説！
STEP1: 引き出す投資商品を選ぶ
積立NISAでは、複数の商品に分散投資を行っているケースが一般的です。取り崩しを行う際は、まずどの商品を売却して現金化するのかを選ぶ必要があります。
例えば、AファンドとBファンドの2つに投資している場合、以下のような基準で選ぶことが考えられます：
- 運用成績：どちらの商品の利益が高いか？
- リスク：今後の値動きが不安定な商品か？
- 非課税期間の残り年数：どちらの商品が非課税期間を長く活用できるか？
これらを考慮し、自分の目的に合った商品を選びましょう。
STEP2: 引き出す金額を決める
次に、具体的にどのくらいの金額を引き出すかを決定します。一括で全額を売却するのか、それとも一部だけを取り崩すのかを選択します。
以下の表は、一部売却と全額売却の比較です。
| 項目 | 一部売却の場合 | 全額売却の場合 |
|---|---|---|
| 非課税期間の活用 | 売却しない分は引き続き非課税運用可能 | 運用を全て終了し、非課税期間も終了 |
| リスク分散 | 他の資産を運用し続けられる | 資産の全てを現金化するためリスクゼロ |
| 手続きの簡単さ | 売却金額の計算がやや複雑 | 簡単な手続きで完了 |
積立NISAの取り崩しにおける注意点とは？
取り崩しを行う際には、以下のポイントに十分注意してください。
株価の変動に注意！
積立NISAで運用している資産は、株式や投資信託が多いため、その価格は市場の状況に応じて変動します。取り崩しを行うタイミングによっては、評価額が大きく変わることがあります。特に、以下のようなケースでは慎重に判断する必要があります：
- 株価が急落している場合
- 市場の不安定な状況
非課税期間のルールを確認
積立NISAの非課税期間は最大20年間です。この期間内であれば、運用益が非課税となります。しかし、取り崩しを行い口座を閉鎖した場合、非課税の恩恵を受けられなくなる可能性があります。
知っておきたい！取り崩し後の選択肢
取り崩しを行った後も、資産運用を続けたい場合があります。その際は、以下のような選択肢があります：
特定口座や一般口座での運用
積立NISAから引き出した資産を特定口座や一般口座に移すことで、運用を継続することができます。ただし、この場合、非課税メリットはなくなりますので、税金が発生する可能性があります。
新しいNISA口座での運用
2024年より、NISA制度が新しくなる予定です。この新NISAに資金を移すことで、引き続き非課税運用が可能になる場合があります。新制度の詳細については金融庁の公式ページを参照してください。
よくある質問
積立NISAの取り崩しに手数料はかかりますか？
多くの場合、取り崩しの際に販売手数料はかかりませんが、信託報酬などの運用コストは引き続き発生します。証券会社によって異なるため、詳細は利用中の証券会社に確認しましょう。
取り崩しを行うのに時間はどれくらいかかりますか？
取り崩しの手続き完了までに数日から1週間程度かかることが一般的です。ただし、取引日や市場の状況によって異なる場合があります。
非課税枠は取り崩し後に再利用できますか？
取り崩しを行った場合、その年の非課税枠は再利用できません。翌年以降の非課税枠を活用しましょう。
老後の資金として積立NISAを取り崩すのは最適ですか？
老後資金として取り崩すのは良い選択肢ですが、iDeCoや他の投資商品とのバランスも考慮することが重要です。ファイナンシャルプランナーに相談するのも一案です。
株価急落時に取り崩しをしても大丈夫ですか？
株価急落時に取り崩すと、評価損が発生する可能性があります。急な取り崩しが必要な場合を除き、価格が回復するまで待つことをおすすめします。
取り崩し後に再投資は可能ですか？
可能ですが、新たな投資は翌年以降の非課税枠を使用する必要があります。
結論
積立NISAの取り崩しは、正しい手順と知識を持っていれば、誰でも安心して行うことができます。市場の状況や非課税メリットを考慮しつつ、自分の目的に合った方法で資産を運用しましょう。また、取り崩し後の選択肢についても事前に検討しておくことで、資産形成をより効果的に進めることができます。